top of page

2021年10月2日 ディボーション

  • hccnichigo
  • 2021年10月2日
  • 読了時間: 3分

詩篇第一巻 31篇


『御手にゆだねる』


「主よ 私はあなたに身を避けています。」(1節)

 記者は自分の立ち位置を明確にする。神さま、あなたにぴったりとくっついていますから、と。からだを寄せるだけでなく、霊までも、まるごと全身全霊をゆだねると続ける。

「私の霊をあなたの御手にゆだねます。」(5節)

 イエスさまが十字架で最期に叫ばれた御ことばと同じだ。

「父よ、わたしの霊をあなたの御手にゆだねます。」(ルカ23:46)


” ゆだねる ” とは、 自分を手放して、まかせること。まな板の鯉 のごとく、煮るなり焼くなりご随にやってくれと、己を託すこと。

 や・ゆ・よ、で始まる日本語は柔らかで、耳に心地よい。やさしい、ゆるやか、ようこそ、よろしく。ゆだねる、ゆだねますも、発音の調べがきれいで控えめで、お祈りの常套句になりそう。でも私は未だ「私の霊をあなたの御手にゆだねます。」とは祈れない。


 夫を自宅で看取っていた頃、ベッドの傍らで私は、ヘンリ・ナウエンの『最大の贈りもの』という本を読んでいた。死と介護について黙想するようなエッセイだった。その中にサーカスの、空中ブランコ乗りのエピソードがあった。

 空中ブランコにヒザを引っ掛けて逆さ吊りになった相方が、天空でジャンプする人を、一瞬のタイミングでつかんでキャッチする曲芸のことだ。

 固唾をのんで見上げる観客は、命綱もつけずにジャンプする勇敢なサーカス団員に拍手を送るが、実はジャンパーは飛ぶだけで何もしない。相方の手につかまろうとしては絶対にいけない、失敗するというのだ。相方を100%信じて、ただ飛ぶだけ。熟練の相方が手をつかんでくれることに、身を”ゆだね” きるだけなのだそう。


 寝たきりで、話すことも飲むこともできなくなった夫の手は、私が握りしめても、握り返してくれなくなっていた。寂しくて途方に暮れた。夫はすべてを手放して死を受け入れるのだと、隔たりを感じた。私だけが覚悟できず、もがいていた。

 亡くなってしばらくして、痛がりもせず、吐血もせず、静かに息を引き取れたのは、夫が自分を手放して、大いなるものにゆだねたからだと思った。謙遜な死を、身をもって妻に見せてくれたのかなと思うことにした。

 今ナウエンの本が手元にないので確認できないけれど、空中ブランコの曲芸のエピソードは、この詩篇か、ルカのイエスさまの御ことばの、 ” ゆだねる ” を黙想したものだったのではないだろうか。

 神さまに対する100%の全き信頼がなければ、ゆだねることはできない。一風柔らかな言葉のゆだねるは、強くて大胆で積極的な行いだ。


 さらに! 詩篇31の記者は、神さまへの信頼を、14節のように賛美する。

「しかし 主よ 私はあなたに信頼します。私は告白します。「あなたこそ私の神です。」」

 神さまへの信頼はただ思うだけではなく、言い表して ” 告白 ” するのだ。告白は証詞であり、証詞は福音を伝えるミニストリーでもある。告白することでその人の信仰も隣人の信仰も、神さまが強化してくださる。ハレルヤ!


 天の父なる神さま、私はまだあなたにすべてをゆだねきれません。この困りごとのゆくえをゆだねます、この選択をゆだねますと、細切れの神さま頼みばかり。100%の信頼を告白できずにもがいています。

 どうか神さま、あなたをもっと感じて、もっと知って、私のすべてを御手にゆだねることができますよう、導いてください。お願いします。

 イエス・キリストの御名で祈ります。アーメン


 
 
 

最新記事

すべて表示
2025年10月2日 詩篇第150篇

詩篇第150篇を読むと自然と、「ハレルヤ神の聖所で~」の賛美が口ずさんできます。 「ハレルヤ神の聖所で  神をほめたたえよ  御力の大空で 神をほめたたえよ  ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ  ハレルヤ その大能のみわざのゆえに  ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ...

 
 
 
2025年10月1日 詩篇第149篇

『書き記されたさばき』  この詩篇は、主が再臨された時の様子を描いたように、主なるイエスが王として君臨される様子を描いているのではないでしょうか。特に千年王国の様子のように読みました。この時は、主イエスをほめたたえながら、賛美をします。しかし、この千年王国には、主を信じる者...

 
 
 
2025年9月30日 詩篇第148篇

『主をほめたたえよ』  いよいよ長い詩篇のデボーションも終わりに近づいてきました。マルコの福音書16章15節の大宣教命令には「それから、イエスは彼らに言われた。「全世界に出て行き、すべての造られた者(preach the gospel to all creation...

 
 
 

コメント


bottom of page