『二人の預言者』
北王国の初代王となったヤロブアムは、本来なら祭司職はレビ人と定められているのに、一般民衆から、自分が選んだ祭司を任命したり、南王国の中心であって、神の町であるエルサレムから北王国の民を引き離すために、自分が作った黄金の子牛を北王国領内のベテルに置いて礼拝するように、主の思いに逆らって、自分の都合の良い宗教政策を行ったために、悪王としてやがて評価されるのですが、この13章には、この暴君ヤロブアムに悔い改めを進言する預言者、神の人が出て来ます。 彼の預言の中には、ヤロブアム王を批判するだけでなく、やがて300年後にユダヤの宗教改革するヨシア王のことをも預言しています。その神の人のことばに逆らうヤロブアム王の手をしなびさせて、悔い改めをさせます。
ここまでは、理解し易いのですが、次に出てくるもう一人の預言者、ベテルに住んでいた一人の年老いた預言者の事が、一体何を語ろうとしているのか分からないのです。 このベテルの預言者は、神の人に嘘をついて、主が神の人に命じた事、パンも水も飲むなという主のことばに反して、食事をさせて死なせてしまうのです。どうして? 何故?という質問には答えが与えられていないように思えるのです。
この老預言者のとった行為は、もしかしたら南王国ユダから北王国にわざわざ来た、この神の人が本当に神の使者なのか、試したのかもしれません。32節「あの人が主のことばにしたがって、ベテルにある祭壇とサマリアの町々にあるすべての高き所の宮に向かって叫んだことばは、必ず成就するからだ。」と神の人が亡くなった後に、この確認の言葉があります。事実、ヨシア王の時代にそれは起こるのですが、初めに神の人が言ったこと、つまり老預言者が務めるベテルの祭壇も裂けると聞いた時に、それでは自分、老預言者は今までベテルで仕えた事は無駄だったのか、南から来た、彼の話は本当なのかと疑ったのかもしれない、そうして神の人自身が、主に命じられたとされる食事をさせてみて本物かどうかを試したのかもしれないとも考えられますが、何かそれだけの理解では、物足りない気もするのです。
神に選ばれた者となった場合には、どこまでも主の命じられたことばに従順でなければならない、これが果たしてこの章のメッセージなのでしょうか。横道に逸れるような事があってはならない。この後に南王国ユダと北王国イスラエルには、続々と預言者達が現れてきます、エリア・エリシャに始まって最後のゼカリヤ・マラキに至るまで、主のことばに従った預言者が、なんとかユダヤ民族を救おうと出てきます、将来のメシアの出現と終わりの日の預言も出てきますが、完全に主に従順であったのは、イエス・キリストのみであったことにつながる話なのかもしれません。
祈り
大変難しい箇所で、自分にはまだまだ理解できない場面ですが、どうか私たちの目が開かれて、理解が深まりますように、聖霊の助けを求めます。偽物の預言に惑わされませんように、本物と偽物が見分けられますように導きください。アーメン
文: 森 宗孝
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