この13章は罪と自制のない情欲が、その人自身だけでなく、家族の者、また周りの人たち、社会にまで及ぼす破壊的な結果を現しています。
ダビデの息子アムノンは異母妹の美しいタマルに恋します。彼はその情欲に取りつかれます。そんなアムノンは悪賢いいとこのヨナダブにそそのかされて、仮病をつかって床に伏せ、ダビデを通して、タマルに彼のところに来て、甘いパンを作ってくれるよう願います。疑惑を全く持たないタマルはパンを焼いて、彼の寝室に持って行きます。そしてアムノンは周りのすべての人を去らせ、二人きりになった時、タマルに自分と寝るようにと言います。しかし「こんな愚かなことはしないでください。」と嘆願するタマルのことばを全く無視して、彼女を力づくで辱めてしまいました。
しかしその後「アムノンはひどい憎しみにかられて、彼女をきらって」、彼の家から追い出しました。タマルにとって、なんと切ないことでしょう。処女の王女である印である袖付きの長服を裂いて、歩きながら泣きました。そして生涯、兄アビシャロムの家でひそかに暮らさなければならなかったようです。
このことを知ったダビデは激しく怒りました。しかしそんなアムノンを叱責したり刑罰を与えたりはしませんでした。その理由はアムノンが自分の王権の第一後継者であるからなのか、自分自身がバテ・シェバに犯した自責の念からかも知れません。
タマルの兄も、アムノンに対して最初は憎んではいたけど何も言いませんでした。しかし最終的には二年後彼は自分の若者たちの手でアムノンを殺させました。
この章の中心テーマは、ダビデが犯した罪に対する神の報いが、ダビデの子らの罪を通して、ダビデの王位継承に対する危機を呼び起こしたということです。池に落とした小石の生じる波状のような、一つの罪がもたらす報いの展開の恐ろしさを感じます。
ダビデの第一王位継承者息子アムノンは殺害され、アムノンを殺害した第二継承者アブシャロムは復讐を恐れて逃亡します。この二人が失われることは、ダビデにとって大きな悲しみと怖れであり、またダビデ王朝の歴史にとっても大きな危機でした。
このような驚くべき暗い悲しい出来事がもたらしたダビデ王朝の危機は、ダビデの罪に対する神の一つの報いでした。しかしダビデ王朝は決して悲劇的に終わるものではありませんでした。このような危機の中にあっても、先の12章に示されているように、神はソロモンという将来への希望を備えておられました。
愛する天のお父様、今日のみ言葉を感謝します。私たちはイエス様によって聖いものとされたはずですが、時として罪を犯すことがあり、その結果、周りの家族や友人などをも巻き込むことがあるかもしれません。しかしそんな状況の中でも私たちが悔い改める時あなたはその罪をイエス様の贖いによって赦して下さり、将来への希望を残していてくださることを信じて感謝します。イエス様の御名によって祈ります。アーメン
Comments