『アビメレクの統治』
父ギデオンの死後、ギデオンの子どもアビメレクが内輪もめや権力の中で、統治していく様子が描かれています。アビメレクは、父の意思に反して世襲制を望み、策略をめぐらして行動します。彼が出向いたシェケムに住んでいる人々は、ギデオンが拒絶した王制を望む者たちでした。またシェケムの人々は、バアル・ベリテの神殿からアビメレクに銀70シェケルを与えました(4節)。権力と金を手にしたアビメレクは、それで粗暴なならず者を雇い、自分の70人の兄弟を皆殺し自ら王位を固めていきます。しかしながら、その統治は3年で終わりを迎えてしまいます。
末子のヨタムだけが逃れ、ゲリジム山の頂上から、シェケムの人々に向かって一つのたとえ話を叫んで言います。いばらの木は明らかにアビメレクを、すべての木々はシェケムの人々を象徴し、それは、アビメレクとシェケムの人々の滅亡を語りのろうものとなりました。
その後、神は、アビメレクとシェケムの人々の間に災いの霊を送られます。こうしてシェケムの人々は略奪を繰り返し、治安を悪化させ、アビメレクの統治を妨害していきます。そしてエベテの子ガアルとの妙な出会いが公然のクーデターへと進行します。反ギデオンであり反イスラエルとしてシェケムの人々は蜂起していくのです。事態は、シェケムの役人ゼブルの助言により、アビメレクが軍を動かすことによって、収束させられますが、しかし、事態はそれで終わりませんでした。
反乱は鎮圧されたものの、アビメレクは、怒りを治めることができず、シェケムの町を全滅させるべく、翌日さらに軍を引き連れて行動します。シェケムを攻略し、さらにテベツへと向かい、地下室に立てこもった人々を焼き殺してしまいます。その時一人の女の投げたひき臼の上石が頭に命中して、彼は死んでしまいます(53節)。ひき臼がうまく命中して死ぬというのは、まさに神の御手以外の何ものでもありません。
神は、一人の女の手によってアビメレクの悪に報い、難を逃れたギデオンの末子ヨタムののろいを実現されました。
ヨタムはアビメレクを呪いましたが、自ら手を下すことなく、アビメレクは葬り去られました。 悪は悪の報いをもたらし、不正な手段で権力の座に着いた者は、さらに不正な手段によって権力を守ることになりますが、神の前に義しく生きる者の恵みは大きく、一見、一族の権力闘争を物語るような9章ですが、神は一人一人の行いに正しく報いられるお方であることがわかります。アビメレクの父ギデオンが、8章23章で語ったように、「主があなた方を治められる」のです。人は種を撒いたらその刈り取りもすることになります。不本意に思われることがあっても、自ら裁くのではなく、神を恐れ、信頼し、遜って神の裁きに委ねる心を持ちたいものです。
主の祈り:天におられる神様、裁くのはあなただけです。又わたしたち一人一人の行いに正しく報いてくださることを感謝します。わたしたちがあなたに委ねる時、あなたの声を聞くことが出来るように耳をすましています。全能の神であるあなたの尊き愛を感謝します。 アーメン
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