『守られた子ヨアシュ』
紀元前840年頃の出来事です。南王国ユダ王のアハズヤ王は一年間だけエルサレムで王であったとありますので、非常に短い王政でしたが、彼の母親は北王国イスラエルの悪王オムリ王の孫娘であったとあります。南王国と北王国が親戚関係になっていたわけですが、ここに血生臭い殺し合いが起こったのです。
彼の母親はアタルヤです、そしてこのアタルヤのお母さんはあの悪名高き、アハブ王の妻イザベルなのです。エリヤが恐れて身を隠した、あのイザベルですからアタルヤには恐ろしい血が流れていたのでしょうか。自分の子であるアハズヤ王が死んだと知ると、南王国ユダの一族を全て滅ぼして自分が権力の座につくのです。
日本でも戦国時代には、骨肉の争いがありました。兄弟同士、相続をめぐっての権力争いが激しかったのですから、人の世は場所が異なっても、変わらないと思いました。家族内でのいさかいが起こるのは時として、相続に関しての場合が現代でも共通していますね。日本では、年老いた親の面倒を長年みていた娘夫婦が、親の財産、家を相続するのは私たちと他の兄弟たちと争ったりするわけです。
私達の持つ欲望は歴史を超えて一緒なのですね。しかしこの南王国ユダの場合、ダビデの血筋が絶えるということは、救い主メシアがダビデの子孫から出生するという神の約束が実現されなくなってしまいますので、大変な事態です。そこで御使いのように助け主が現れます。亡くなったアハズヤの前王であるヨラム王の娘エホシェバがアハズヤ王の幼子であるヨアシュを助け出し、乳母とヨアシュを神の宮で匿ったとあります。 この22章は、主の守りの御手がエホシェバを通じて伸ばされていた事を伝えようとしたと思います。
それにしても、主の宮の寝具をしまう小部屋に乳母とヨアシュを隠したのは、悪女王アタルヤの治世6年間であったとありますので、そのような長い年月を、アタルヤの目と鼻の先で過ごしていた事は驚きます。主の宮はまさに砦となって幼子を守りました。
祈り
私たちは確かに、暗闇の世界におります。しかしどのような苦難な中にも、主は御手を伸ばされて守ってくださっている事を南ユダの歴史から学びましたことを感謝いたします。アーメン
文:森 宗孝
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