『ソロモンの治世』
歴代誌はもともとは一巻の書書だったのが、70人訳聖書から二つに分けられた。この後半、第二の1章から9章までは、ソロモンの治世となり、前半のダビデの治世が終わった後の話となってゆく。しかし、ダビデから王位継承するための争い、後継者となったソロモンの闘いには全く触れていないで、神殿の建築が主題となって進むのが歴代誌の特徴である事を覚えよう。そして10章から36章までは、王国の分裂後の特に北イスラエル王国には触れずに、南ユダ王国の王たちの話に進んでゆく。神への応答が、イスラエル民族の歴史と運命を決定しているという視点から、その中心となる神殿を描いているのです。そして、今の世においても、神への応答が私たちの運命を決めていると言っても過言ではないでしょう。
この1章にはソロモンの主への願いが描かれています。10節「今、知恵と知識を私に授けて下さい。そうすれば、私はこの民の前に出入りいたします。さもなければ、だれに、この大いなるあなたの民をさばくことができるでしょうか。」ソロモンの知恵とはイスラエルの民を公平に裁くことのできる知恵、神を畏れる知恵のことだったんですね。こうしてソロモンはイスラエルの王となった。
特にひっかかりがあったのは、13節「こうして、ソロモンはギブオンにある高き所から出て行き、会見の天幕の前を去ってエルサレムに行き、イスラエルの王となった。」自分はてっきり幕屋は、ダビデがすでにエルサレムに移したものと思っていましたが、そうではなかったのでしょうか。確かにダビデは契約の箱をエルサレムに持ち込みましたが、それを囲むモーセの天幕は、まだギブオンというエルサレムから南西の3キロ強の所にあったようです。 ギブオンの関連は歴代誌第一21章29〜30節に、こう記されています。「モーセが荒野で造った主の幕屋と全焼のささげ物の祭壇は、そのときギブオンの高き所にあった。しかしダビデは、神を求めてその前に出て行くことができなかった。主の使いの剣におびえたからである。」と不思議な記載があります。自分には、理解できませんが、ソロモン王がダビデ王さえも恐れたギブオンを訪れて、さらに祝福されたイスラエルの王となったということだろうと思いました。
祈り
イスラエルの歴史は、異邦人の私達にとって文化の違いのせいで理解が困難な内容も多々あります。どうかそのような中においても、主イエスの姿を見つけ出すことができますように導き下さい。アーメン
文: 森 宗孝
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