top of page
hccnichigo

2024年1月31日 マタイの福音書12章

 この12章にも珠玉の教えが満ちている。全部を取り扱うところだが、そういうわけにもいかない。そこで特に20節の御言葉に注目したい。

「傷んだ葦を折ることもなく、くすぶる灯芯を消すこともない。」

 これはイザヤ書42章1節から4節のメシヤ預言の成就として記されている。メシヤ=救い主は、このようなお方だということだ。


 哲学者パスカルは「人間は、考える葦である。」と言った。「葦」とは、水辺に群生している植物だ。それを編んで器にしたり、生活に利用することも出来るのだが、しかし、とても弱く、それほど価値がない物としてみなされている。パスカルは生来虚弱であったそうだ。自分は葦のように弱い存在だ、しかし人間の価値とは「思考すること」にあると説いたのである。

 

 しかも、その弱い「葦」が傷んでしまったら、なおさら何の役にもたたなくなる。ろうそくの灯芯がくすぶると黒い煙が出て有害ですらある。

 そんな価値がなく、役にたたず、周りに迷惑ばかりかけるような存在…と世間からはみなされ、深く傷んでいる者たちが実際にいる(悲しいことだが)。しかしイエスさまは、そのような存在を折らない、消さない、つまりその存在を否定しないのだ。しかも否定するどころか、もっと積極的に、その存在を尊ぶのだ。むしろその弱さの中に、神の力と栄光を現わしてくださる。これが神の国の価値観なのだ。この御言葉に現わされたイエスさまの心が、近代福祉を形成したのは事実である。

 

 私たちも、このイエスさまの心を、価値観を、一言で言えば「神の愛」を自らの心として歩んでいきたい。


  天の父なる神さま

 あなたは、傷んだ葦を折ることなく、くすぶる灯芯を消さないお方です。私たちの存在の価値は、あなたの中にあります。私たちの弱さの中に、あなたの力と栄光があらわれることを感謝します。

 私たちの弱さも、あなたへの捧げものとして献げます。どうぞ神の栄光のために用いてください。 主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン        

                                文:関真士


閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示

2024年12月3日 歴代誌第二23章

『幼きヨアシュ王』    神殿内で、密かに7年間も守られて育ったヨアシュ、きっと彼を守っていた祭司エホヤダの家族は祈りながら育てたことでしょう。ついに祭司エホヤダは、秘密裏のうちにユダのすべての町からレビ人の氏族の頭と連絡をとって、主が与えたダビデ契約、ダビデ王の子孫から本...

2024年12月2日 歴代誌第二22章

『守られた子ヨアシュ』  紀元前840年頃の出来事です。南王国ユダ王のアハズヤ王は一年間だけエルサレムで王であったとありますので、非常に短い王政でしたが、彼の母親は北王国イスラエルの悪王オムリ王の孫娘であったとあります。南王国と北王国が親戚関係になっていたわけですが、ここに...

2024年12月1日 歴代誌第二21章

『主に背く者の末路』  ヨシャファテ王が先祖とともに眠りついたので、その子ヨラムが代わって王となった治世が記されています。彼は父親のヨシャファテ王とは正反対の行動をとりました。  王権を取得したヨラム王は自分の六人の兄弟を殺し、又、イスラエルの首長たち数人も殺したのである。...

Comments


bottom of page