『エフライムとマナセ』
この時代の長子の権利とは、他の息子よりも2倍の遺産を受け継ぐ権利とも、他の者を祝福することのできる権限とも考えられます。ですからヤコブの長子としてヨセフは、他の兄弟に比べて2倍、二人の息子を12部族に加えてくれたのです。この息子たち、もともとマナセが長男で、エフライムが次男なのですが、この48章では死の床についたヤコブがヨセフのこの息子たち、二人の頭に手を置いて祝福する場面です。
本来、お父さんのヨセフはヤコブの長男ではなく、12番目の一番下の息子です、しかしながら、このヨセフがヤコブから長子の権利を受け継ぐので、2倍の祝福、彼の息子二人がおじさん達と同格となってヤコブからの祝福を受けます。他のヤコブの11人の息子たちもエジプトの宰相となったヨセフに対して頭を下げて従わざるを得ない、ヨセフの夢に出てきたように、家族の皆が頭を下げているのです。こうしてヨセフが神の摂理によって長子の権利を受け継ぐのです。しかしよく考えてみると息子11人にヨセフの息子二人を加えるので13部族となるはずですが、この13部族の中でレビ族は祭司としての幕屋や神殿での奉仕をする役目が与えられているので、大祭司が着る胸当ての12の宝石、それぞれの部族を表す中にも入っていないし、与えられるべき約束の土地も、散らされるのでレビ族が省略されることが多いのです。聖書は12という完全数にこだわります。
そしてヤコブはこの二人の孫息子たちを自分の息子として、彼らに対して預言的な言葉を語ります。まず本来、右手は長男に置くべきなのに、次男エフライムの頭に置きます。ヨセフは年老いたヤコブが間違ったと思い、さとしますがヤコブは預言をしていたのです。
19節「しかし、父は拒んで言った。「分かっている。わが子よ。私には分かっている。彼も(マナセ)また、一つの民となり、また大いなる者となるであろう。しかし、弟(エフライム)は彼よりも大きくなり、その子孫は国々に満ちるほどになるであろう。」」
これからはるか後に、イスラエル12部族は、ユダ族を中心とした南ユダ王国と、北王国としてのイスラエル王国に別れて行きますが、北王国の中心となるのはエフライム部族となってイスラエル北王国10部族の中心的部族となってゆきます。それを預言しているヤコブの言葉だと考えられます。南北に別れたイスラエル民族の事を預言者達は、北王国をエフライムと呼び、南王国をユダと呼ぶようになります。 最終的には北王国は滅ぼされ、残った南王国ユダが中心となってゆくので、今ではユダヤ人と呼ばれるようになったのです。
旧約聖書には、後の者が選ばれてゆくという例が多くあるようです。カインと弟アベルでも、弟アベルのささげ物を喜ばれたとありました。イシュマエルではなく弟イサクが選ばれ、エサウではなく弟ヤコブが長子の権利を受け、ここではヤコブの長男ルベンではなく、一番下の弟ヨセフが選ばれています。ダビデも一番下でした。神の選択はいかに従順な心を持って、神を畏れながらも主の道を感謝して歩む者を選んでゆくのが摂理であると教えてくれています。
祈り
ああ、どうか私たちも従順な心を持ち、自己中心の想いが砕かれ、主の戒めを守り、聖霊の助けを持って、主の道を歩める者とさせて下さいますように。アーメン
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