『ファラオの夢』
エジプトの地で豊作の7年が終わると、7年の飢饉が始まるとエジプト王ファラオの夢を解き明かしただけでなく、その飢饉への対策方法をも助言したヨセフに大変感心された王は、彼に自分の指輪を渡し、王と同じ権威を持たせて総理として仕事を任せた。
ヨセフが30歳の時である。ファラオはヨセフにエジプト名を与え、祭司の娘アセナテを妻として与え、二人の息子マナセとエフライムが生まれる。
この二人の名前にヨセフの心が写し出されている。そして名前の中心は「神」である。
「ヨセフは長子をマナセと名づけた。」神が、私のすべての労苦と、私の父の家のすべてのことを忘れさせてくださった」からである。また、二番目の子をエフライムと名づけた。「神が、私の苦しみの地で、私を実り多い者としてくださった」からである。」(51、52節)
ここに示されている子どもの名前に、全てが神の導きであるという感謝の念であり、異教の神、エジプトの祭司の娘である妻の影響を全く受けていないヨセフの心のうちを垣間見る事ができます。
このエジプト王ファラオは、恐らくエジプト王国の中間期と呼ばれる、紀元前1700〜1500年の遊牧民族ヒクソスという、いわば外国、西アジア系遊牧民族がエジプトを支配していた時期ではないかと推測されています、それは彼らがヨセフと同じくセム系民族で、外国人をも召しかかえてエジプトを支配した時期ではないかと考えられます。しかし、その後、紀元前1567年にエジプト人アフネス1世によってこの遊牧民族ヒクソスは撃退されてゆきます。それでアフネス1世は、エジプトの民族を解放したナポレオンと呼ばれているのです。ですから政治権力がエジプト人に戻った結果、支配していた側は、支配される側に転落し、今まで功績があったヨセフの子孫のイスラエル民族(ヘブル人)も、王がエジプト人となり、どんどん人口が増えてゆきながらも独自の文化を持っているイスラエル民族に脅威を覚え、今までの立場が変わって、奴隷となってエジプト人に支える身とさせられてゆく背景が理解できるのではないでしょう。
いよいよこの41章を境に、30歳になったヨセフの人生は、土に埋もれた、ドロドロの患難の根から見事な花が咲くように全てにおいて順風の風が吹き、エジプトの人々は彼の前でひざまずいたと記されています。しかし、全てが神の導きである事を自覚しているヨセフは、ファラオに従順に従いながら、エジプトにやがて襲ってくる飢饉に備える働きをしています。
ルカの福音書3章23節「イエスは、働きを始められたとき、およそ三十歳で、ヨセフの子と考えられていた。ヨセフはエリの子で、さかのぼると、」とありますので、ヨセフも同い年で働きを始められた事を覚えましょう。そしてヨセフが王であるファラオに従順であったように、主イエスは父なる神に対して、全き従順をもって仕えられました。
聖書にはよく、完全数と言われる数、それは3+4の7であったり、3x4の12であったりする表示があります。
3は天の世界、三位一体の世界を表し、4は東西南北のこの地上を表すので、7は天と地を全て含める完全数と理解できます。エジプトは7年の豊作の後に7年の飢餓が襲ってきます。主イエスが再臨する前に、この世も7年間の患難時代を経験するのです。実にヨセフの物語は、主イエスにつながってくるとは、なんとも不思議な聖書の世界です。
祈り
どうかヨセフが従順でありましたように、主イエスが従順でありましたように、自分も父なる神に従順である事ができますように導きください。アーメン
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