『アブラハム契約』 アイゾン直子
へブル人アブラムの物語が始まりました。彼はみことばに従って主の示す地へ向かいます。神の命令に何ら疑問を抱くことなく、ただ従順であったアブラムに対して主は、子孫と土地、そして祝福を約束されます(1‐3)。この約束を神学用語で「アブラハム契約」と呼んでいます。出エジプト記から黙示録に至るまで、この契約を下に神の祝福とさばきが繰り返されることから、聖書全体を貫く大原則であるとも言われています。
またこの契約は神が一方的に結んだ無条件契約であるため、アブラムまたは彼の子孫たちが契約条項に違反したとしても破棄されることはありません。
この契約はみことばに従った者たちによって徐々に成就していきますが、すべての成就は御国完成の日を待つことになります。この契約は現在も有効であり、私たちはこの契約の下に生かされている者たちです。
聖書には、アブラハム契約の他、アダム契約(創世記3:16‐19)、ノア契約(創世記9:11)、土地の契約(申命記30:1‐10)、シナイ契約(出エジプト20章、申命記11章)、ダビデ契約(2サムエル7:8‐16)、新しい契約(エレミヤ31:31‐34)などがあります。そしてこれらの記述によって私たちの神が人と契約を結ばれる神であることを知ります。私たちは神の約束は必ず成就すると信じていますが、そう断言できる理由はこれらの契約があるからです。私たちが愛し、信頼する神はありもしないこと、出来もしないことに対して盲目的な信仰を求める神ではありません。神は、完全でない人間と契約を結び、救いの道を備えてくださいました。人はその契約に対して違反したり、従えなかったりしますが、神は忠実に守られます。
アダムの時代、彼とエバによってもたらされた罪や呪いから人類を救うと約束されました。この契約は今も継続中です。
ノアの時代、すべてを滅ぼすような洪水は二度と起こさないと約束されました。このことも継続中です。
アブラハムの時代、子孫や土地、そして祝福を与えると約束され、そのみことばとおりアブラハムからイスラエル民族が誕生し、彼らを祝福する者には神の祝福があり、呪う者にはのろいが与えられました。この契約も継続中です。
ダビデの時代、彼の家系からメシアが誕生することが約束され、そのようになりました。永遠の王国についてはイエス再臨の時を待っています。
土地の契約に関してはまだすべて成就したわけではありませんが、1948年イスラエル国家が誕生、イスラエルにユダヤ人たちが帰還しました。
新しい契約は、モーセの律法を満たし、異邦人に救いをもたらしました。この契約も現在継続中です。
このように私たちが信じ、愛する神は人と結ばれた契約を忠実に守られるお方です。聖書を通して語られる歴史的事実は私たちの信仰をより堅固なものに変えてくださいます。私たちが待ち望んでいる御国の到来は、これらの契約に従って着実に成就の道を歩んでいるのです。
とは言え、私はアブラハムのように何の疑問も抱かず、ただ主のみことばに従う信仰に立つことが出来る人を羨ましく思い、その人を本当に幸いな人だと思うのです。私のように、疑り深い性格を持つ者にとって「信じるだけで救われる」という信仰は非常にハードルが高いのです。しかし、そのような疑り深い者に対しても神は聖書を通して語ってくださいます。私は聖書を理論的に学ぶことによって、聖書の神こそが真の神であり、私のような罪深い者を救うことの出来る唯一の神であったという確信に至ることができました。未だに疑り深い性格ではありますが、あらゆる疑問に対して神は真摯に聖書を通して教えてくださるので、感謝です。聖書を完全に理解することは無理ですが、神を知ろうと探し求めるなら、必ず主はその問いに答えてくださいます。それがみことばを学ぶことの喜びです。
祈り:愛する天のお父さま。アブラハムとは真逆の疑り深い私のような信仰でさえ、あなたが喜んでくださることを心から感謝いたします。次から次へと浮かぶ私の疑問に対して常に真摯に、時間をかけてその答えに導いてくださることに感謝です。「求めなさい、そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。」(マタイ7:7)みことばを学ぶことによって更なる霊的成長が得られますよう、これからもお導きください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン
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