『キリスト・イエスの恵みによって強くなる』 アイゾン直子
テモテへの2通目となるこの手紙は、パウの別離の手紙とも呼ばれているそうです。この手紙を書いたときのパウロは、ローマで2度目の獄中生活をしていました。しかし最初の獄中生活とは異なり、この度は処刑を目前に控えていました。キリスト教の伝承によれば、この手紙の後パウロは斬首刑に処されたと言います(60分で分かる新約聖書参照)。つまり、パウロが書いた最後の手紙がテモテへの手紙第二ということになります。
処刑を目前に控えたパウロからテモテへの励ましのことばは「キリスト・イエスにある恵みによって強くなりなさい。」でした。強くなりなさい、と言われても人は自分の力で強くなることは出来ません。ではテモテはその強さをどのようにして得たのでしょうか。
テモテはパウロの同労者として選ばれ(使徒16章)、伝道旅行にも同行、また時にはパウロが伝道した地に留まって働きを続けたり(テサロニケ教会)、彼に代わってコリント教会に派遣されたりもしました。またパウロがローマで最初に投獄された時もテモテはそこに居ました(ピリピ、コロサイ、ピレモン、エペソ)。つまり彼はパウロと行動を共にしたことで、そこからすべてを感じ、学んで行ったのではと思います。日本にも弟子入りの文化がありますから、体験学習の価値について日本人なら誰しもが共感できることではないかと思います。パウロの内にある「キリスト・イエスの恵みによる強さ」を、テモテはまるで自分の身に起きてるかのように感じ、体験したのではないかと思います。
私たちもまた、サタンの支配下にあるこの世にあって、揺るがない信仰を保つためにキリスト・イエスの恵みによる強さは必要です。なぜならこの世は私たちに偽りの解放を与えようと、とても熱心だからです。テモテはパウロからそれを得、励ましの手紙と共に、キリストの立派な兵士として戦い抜かれました。同じように私たちも、教会指導者の教え、励ましを受け、兄弟姉妹と共に過ごし続けることで、神のみこころに従う者へと変えていただけるのだと思います。
皇帝ネロの時代、ペテロやパウロ含め、おびただしい数のキリスト者が処刑されたといいます。しかしそのような状況下にありながらも、テモテはキリストの福音の灯を繋いで行きました。そのいのちをかけた真剣勝負によって守られた灯は、今私たちの手に委ねられています。パウロがテモテを励ますために書いたこの手紙から、私自身も励まされて、福音の灯を繋いでいきたいと思います。
祈り:愛する天のお父さま。パウロは大伝導家と呼ばれた人ですが、彼もまた初めのころは迫害を恐れた人でした。その人が、主によって強くされて行ったことを思う時、福音伝道に励んでおられる牧師先生や宣教師の方々はもちろん、自身のためにも、キリストの恵みによる強さを求める祈りの必要性を感じました。誰も自分の力で強くなどなれません。聖霊さま、どうかあなたの導きによって、必要な強さが与えられますように。福音の灯を繋ぐ者とされますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン
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