『ヨベルの年』 アイゾン直子
安息日の規定に続き、今回は土地に対する安息年の規定が与えられます。6年間は土地を耕し、種を蒔き、作物を収穫しますが、7年目には休ませなければいけないという規定です。一年間も土地を休ませるわけですから収穫がありません。安息年の間、一切の耕作を禁じられるわけですが、そこに自然に生えて来たものは食べることが許されていました。それは土地の所有者でなくても食べることが出来、家畜や野にいる獣も食べることが出来ました。
食物の収穫がないということは、食べるものがないことはもちろん、収入源も途絶えるということになります。そのような厳しい掟が定められた理由は、すべては主のものであるということの再確認、そして「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」(レビ19:18抜粋)を実践するためだったのではと思います。私たちにも、主イエスによる新しい律法が与えられていますが、それもまた「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」(マタイ22:39抜粋)を実践するための命令なのだと思います。
次にヨベルの年についての規定が語られます。ヨベルとは雄羊の角と言う意味があり、7回目の安息年の翌年、ヨベルの年、の到来を告げるため雄羊の角笛を吹き鳴らします(ヨシュア6:3‐5)。その年には安息年同様、一切の畑仕事が禁じられますが、49年目、50年目とヨベルの年には2年もの間、土地を休ませることになります。しかも、3年目には種を蒔くだけなので、翌年の収穫まで待たなければいけません。収穫のない間、何を食べればよいのかと民が思案する前に主は、安息年の前年、つまり6年目に3年分の収穫を約束してくださいます。主は確かに、ことばが私の舌にのぼる前に、そのすべてを知っておられ(詩編139:4)、私たちのことを心配してくださるお方なのです(1ペテロ5:7)。すべてをご存じの主は、私たちの必要を満たしてくださるお方です。
安息日も安息年も、回復が目的です。安息日は民を休ませ、安息年は土地を休ませました。ただヨベルの年となると土地を含む、民族的な回復が行われます。そのため、ヨベルの年には借金が帳消しにされ、売却されていた土地は売主に返還され、奴隷たちも解放されました。土地や奴隷に対して買戻しの権利が与えられたのです。
私たちはイエス・キリストによって買い戻されたお互いです。モーセの律法によれば、本来買戻しの権利は血縁関係者に与えられた権利でしたが(申命記25:5‐10)、主イエス・キリストの十字架の恵みを信じることで異邦人もアブラハムの子孫とされ、イスラエルの民と同じ相続権を得ることとなりました。このことはやがて訪れるキリスト再臨の日に、私たち異邦人もイスラエルの民と共に神の国においてヨベルの年を祝うことなるということです。
ちなみに旧約聖書には、このヨベルの年が実行されたという記録はありません。しかし、イスラエルでは今もこのヨベルの年の教えが生きているそうです。離散した土地に住むユダヤ人富豪家たちによって「ヨベル基金」というものが設立されていて、破産しそうなユダヤ人を助けたり、イスラエルでの生活を始めるユダヤ人を助けたりしているそうです。(https://www.christiantoday.co.jp/articles/20606/20160422/homori-koichi.htm 参照)
神の民としての生活は常に聖別の道を歩む生活です。この世は所有物の多さを誇りますが、イスラエルの人たちはすべては神のものであると捉えます。私たちもそのように捉えるなら、物欲から解放され、隣人を自分自身のように愛するようになれるのだと思います。ヨベルの年の教えから、助け合い、仕え合うことの大切さを学びました。感謝です。
祈り:愛する天のお父さま。私自身含め、この世にあるすべてのものは、主よ、あなたのものであることを感謝します。レビ記と言う主が直接語られた書を読みながら、あなたの愛は永遠に変わらないことを再確認させていただきました。あなたを愛し、隣人を自分自身のように愛する心を常に与えてください。聖霊様の満たしと導きがありますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン
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