使徒の働き12章
『祈ることの大切さ』
アンテオケ教会からエルサレム教会へ物資等が送られ、義援金が集められていた頃、ヘロデ王は教会を抹殺しようと、使徒たちへの迫害を始めました。そこで、最初の殉教者となったのが、ヨハネの兄弟であるヤコブでした。彼は、ゼベダイの子で、その兄弟ヨハネと共に、雷の子という名が付けられた人です(マルコ3:17)。ヤコブの処刑は、ユダヤ人たちを喜ばせました。そしてそれを知ったヘロデ王は、次にペテロを処刑しようと、彼を捕らえました。
ここに出て来るヘロデ王とは、ヘロデ・アグリッパ1世、ヘロデ大王の孫です。ヘロデ大王と言えば、イエス降誕の時に、2歳以下の赤子を皆殺しにせよと、命じた人です。そしてその息子であるヘロデ・アンティパスは、バプテスマのヨハネの首をはねさせた人、またイエスをさばいた人です。ヘロデの家系は、世代を超えて神のご計画を阻止した人たちでした。
この章で、ヤコブは処刑されますが、ペテロは御使いによって処刑を免れたことが書かれてあります。なぜヤコブは殺されて、ペテロは殺されなかったのか。聖書のすごいところは、こういった一般的に見れば『不公平』と捉えられるようなことが、包み隠さず伝えられていることです。
この答えについて、聖書には何も書いてありません。私見になりますが、ヤコブの死は、神のご計画のため、また神の栄光のために用いられた死であったと思います。「なぜ?」と思う人が、ある日突然、天に召されることがあります。同じ病なのに、治る人もいれば、命を落とす人がいます。人にとっては、『不公平』と思われるような取り扱いですが、神の目からは尊い死であり、天においては喜びであると、私は信じます。
またこの章には、ロデという名の召使いが出てきます。彼女は、最初にペテロの声を聞いた人でした。私なら、すかさず門を開けてペテロを部屋に通したと思います。しかし彼女は、喜びのあまり、門を開けることをせず、奥の部屋に駆け込んで、ペテロのことを知らせに走りました。この彼女についての描写は、鬼気迫る状況の中にあって、心を和ませるものがあります。またこの記述によって、ペテロ救出の出来事の真実味が、増したようにも思います。
ヤコブが処刑され、ペテロが捕らえられた時、残された使徒たちは、皆で集まって、ペテロのために祈っていた、とあります。自分の仲間が捕らえられたなら、どうやってそこから救出するかを調べて、行動しようとするのが通常ではないでしょうか。しかし、彼らは集まって祈っていたのです。
試練や困難に遭遇した時、またはそのような状況にある兄弟姉妹を思う時、「どうしたら良いか」を思案し、行動してしまう自分を問われた思いがしました。何よりも、まず祈ることが、すべてにおいての唯一の解決法であり、深い信仰の現れなのだと学ばされました。
この後、ヘロデ王は、演説中に虫に食われて死んでしまいます。虫に食われて、と聞くと蚊のような虫を想像してしまいがちですが、ここでいう虫とは寄生虫のことだそうです。当時は衛生的にも不十分であったことから、寄生虫が腸内に沸き、それによって命を落とす人が多かったそうです。育った寄生虫は腸壁を食いちぎるそうですから、ヘロデ王は、物凄い苦しみの中、死んだと思われます。
神はすべてをご存じですが、祈りなしに行動されるお方ではないことを学びました。祈りは神との交流です。いつでも、どこでも、神に祈りを捧げる習慣を今日から、身につけていきたいと思います。
祈り:愛する天のお父さま。私の祈りを聞いてくださり、喜んでくださることを感謝いたします。特別な祈りだけでなく、会話するように、あなたへの祈りを習慣化することができますよう、お導きください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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