サムエル記第一 27章
「荒野の迷走」
すぐ前の26章では、サウルを前にダビデは毅然と対峙していた。
「私は、主に油注がれた方に、この手を下したくはありませんでした。」(サムエル一26:23)
なのに心の中では「私はいつか、今にサウルの手によって滅ぼされるだろう。」(サムエル一27:1)と、ビビりまくっているというのが27章の始まりだ。
ダビデは主を忘れ、肉の自分だけで策をめぐらす。敵地、ペリシテ人の地に逃げ込めば、サウルは手を出せないだろう……。そしてペリシテ人のアキシュ王の領地に逃げ込んだ。
あれっ? アキシュ王って21章でも出てきた人物だ。あの時ダビデはなんと、アキシュ王の威厳を恐れ、よだれを垂らして狂ったふりをした。
そんな醜態をさらした王の元にまた行くなんて恥ずかしくないのか? しかも、領地までおねだりするとは。アキシュさま、あなたの王国の都に住むのは畏れ多いことなので、私には地方の町の一つをください、と。まあなんと図々しいこと!
挙句に、襲撃地や戦果をうやむやに報告し続け、王の信頼を得ようとまでする。
少年ダビデが巨人ゴリアテと戦った時、サウルが渡したかぶとも剣も必要とせず、丸腰で倒した勇者が、21章ではゴリアテの剣を欲し、モノに頼り、主を忘れて恐怖におののいた。この27章でも主を仰ぎ見ることはなく、肉のダビデは荒野で迷走する。
メシアの系譜、ダビデでさえ! 自分の中の“すさみ”をおぼえます。
祈り
あわれみ深い神さま、私たちは信仰のアップダウンの中で暮らしています。それを忍耐強く見守ってくださって、ありがとうございます。
主を見上げる方角を見失いそうになった時、どうか、できれば少しでも早く軌道修正の導きをしてください。
ピンチにある時こそ、主の御名をあがめ讃えられますように。
イエスさまのお名前で感謝して祈ります。アーメン
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